実習会[3]報告

概要

開催日程

2010年3月24日(水)〜2009年3月26日(金)

開催場所

千葉工業大学津田沼キャンパス7号館7301番教室

主催

月惑星探査育英会 実行委員会

後援
  • 宇宙航空研究開発機構
  • 日本惑星科学会
  • 惑星科学研究センター(CPS) / 神戸北大 G-COEプログラム
世話人

並木則行,荒井朋子,千秋博紀(千葉工大),出村裕英,平田成(会津大),はしもとじょーじ(岡山大),大竹真紀子,小林直樹(JAXA)

講師陣
  • 講師
    • 大竹真紀子(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)
    • 平田成(会津大学コンピューター理工学)
  • TA
    • 本田親寿(会津大学コンピューター理工学)
    • 出村裕英(会津大学コンピューター理工学)
参加者
  • 参加者25名
    • 学部生7名
    • 修士課程5名
    • 博士課程1名
    • ポスドク2名
    • 教職員10名
実習内容
課題内容
  • 「かぐや」データ公開サーバの利用方法
  • 「かぐや」搭載カメラ(月面撮像/分光機器: LISM)の画像データ処理と解析
プログラム
  • 3/24 PM
    • リモートセンシング一般(平田): 1.5h
    • 「かぐや」データプロダクトの概要(大竹): 1h
    • 「かぐや」データ公開サーバの使い方(大竹)
    • サーバからのデータ入手実習?: 1h
    • 画像処理ソフトの使い方(平田)
    • 画像の閲覧実習: 1h
  • 3/25 AM
    • 月物質の反射スペクトル(大竹): 1h
    • リモセンデータと実験室データの比較(大竹)
    • マルチバンド画像の解析手法(1)(平田)
    • 投影法変換,モザイク
    • 実習: 1h
  • 3/25 PM
    • マルチバンド画像の解析手法(2)(大竹・平田)
    • 比演算,スペクトル抽出
    • band depth,Lucey plot
    • 実習: 1h
    • サンプル地域での解析実習
  • 3/26 AM
    • 実習続き
  • 3/26 PM
    • 発表会

成果レポート

実習会ではアポロ17号着陸地域のMIデータを用いた解析を行ない,この地域の組成,岩相区分や年代について議論してもらった.最終日の午後にその成果の発表会を行った.以下のレポートはその成果をまとめたものである.掲載許可が得られたものを順次公開しています.実習会参加者の努力が伝われば幸いです.どのレポートも秀作ですよ.

門屋ほか.pdf

神前ほか.pdf

梶川ほか.pdf

伊藤ほか.pdf

アンケート結果

● 本実習を知った経緯

ML(8名).研究室教員からの勧め(5名).LOCを依頼されたため(1名).

● 主な参加理由

かぐやLISMデータもしくは月の研究に対する興味(7名).勉強の一環・必要に迫られて(7名).

● 実習難度

易(1名),適切(7名),やや難(5名),難(1名).コメント:進行が早く聞き落とすとついていけなくなる(3件).perl処理の部分が不慣れで難しかった(1件).

● 講師・TAへの要望

過去の実習会にもまして解説の記述やサポート面は充実していた(5件).解析内容の基礎知識や理論的背景の充実,もしくは紙の配布テキストを要望する(3件).逆に背景説明よりも具体的な解析例をより多く盛り込んでほしい(1件).Windows(非Cygwin)での利用を想定した説明を望む(1件).誰がTAか分からなかった(1件).

● 今後採り上げてほしいトピック

「かぐや」,LROC或は画像に限らない月データ解析(6件).「あかつき」・金星(2件).月以外(火星,タイタン,イオ,氷衛星)(1件).フリーソフトウエアの実習会(1件).IDL講習会(1件).第2回で実施したSPICE講習会を日本語で再度行ってほしい(1件).

● 自由記述欄から

講義・実習ともに楽しめた.参加者同士で情報交換ができて良かった.分かりやすく大変ためになった.発表会が面白かった.次回以降も参加したい.第2回と比べて日本語での講習会だったので安心して取り組めた.予備知識が無いので画像の評価が難しかった.実習で取り上げたテーマの背景説明が不十分だった.

(以上有効回収票数14)

実習会に参加して

藤田航(東京大学理学部地球惑星物理学科4年)

 今回、私が実習会に参加してみて学んだことは、リモートセンシングの意義と月周回衛星かぐやのデータへのアクセス法、それに画像解析ソフトENVIの使用法などです。

 特にENVIを用いたアポロ17号探査領域の画像解析は、今後の研究にとってよい刺激となりました。前知識のない私には内容は難しく、すべてを理解するまでには至りませんでしたが、数時間という枠組みの中で互いにアイディアを出し合い着々と準備を進めていく他の参加者の姿には感銘を受けました。同じデータを与えられ着眼点も皆ほとんど同じだったのに、発表会ではそれぞれのグループが個性を発揮していて、異なる論証をたどりそれぞれの結論に到達していたことには驚かされました。

 ENVIそのものの操作については、複数のウインドウのそれぞれのメニュー項目から目的とする操作を実行しなければならないという点において、非常に難しく混乱しました。おそらくそれは鉱物やスペクトルに対する私自身の理解が浅いためだと思うので、こうした「道具」を使いこなせるようになるためにもその辺をもっと勉強していきたいと思います。

 今回の経験を生かして、自分のこれからの研究に役立てていきたいと思います。

神前喬(大阪大学大学院理学研究科 M1)

 今回の月惑星探査実習会には、ENVIというリモートセンシング画像解析ソフトを用いて「月周回衛星『かぐや』」のマルチバンドイメージャ(MI)のデータハンドリング実習を行うということで参加しました。MIデータは一般に公開され始めいていますが、そのデータを理解し、画像解析が行えるようになるには、データ形式を理解することと、画像解析で出来ること、広く行われている解析手法を知らなければなりません。

 本実習会では、まずリモートセンシングの手法、データの構造を学び、かぐやに搭載されていたMI(マルチバンドイメージャ)の仕組み、撮像されたデータの構造を理解し、これを実際に画像解析ソフトENVIで解析、発表するところまでを2泊3日で行いました。

 会津大学の平田さん、JAXAの大竹さんというスペシャリストによる詳しい講義に加え、未解析のMIデータを参加者に解析、発表させてくれるという非常にエキサイティングなカリキュラムに、参加者同士の意見交換や議論がだんだん活発になっていきました。また、ENVIの多彩な機能が色々の解析手法を可能にし、発表会では様々なアプローチによってアポロ17号着陸地点付近の月面の様子が語られました。

 講義、実習、発表を通じて、世話人の方々や参加者の皆様にはENVIの使用法のみならず、サイエンスに関するヒントなど沢山アドヴァイスを頂きました。想像していたよりもずっと充実した内容の3日間で、実際にすぐに応用出来る画像解析のテクニックを身につけることが出来ました。リモートセンシング画像解析の入門として非常に有意義な実習会であったと思います。

梶川岳彦(広島大学大学院理学研究科学部4年)

今回は、「かぐや」のデータ解析実習ということで、日本で月の科学を学んでいる私にとって「かぐや」のデータに触れることがきるのは憧れであり、非常に刺激的でした。ただ、端末の取り扱いに不慣れだったため、実習中に混乱したこともありましたが、TAをはじめ、たくさんの方々に丁寧に教えていただき無事実習を終えることができました。ENVIを使った解析は驚きの連続で、「かぐや」が集めたデータが実際に目の前でマップや表になって現れることに感動しました。実際の月物質を扱う研究と違い、全く新しい視点から月の研究を見ることができ、視野が広がったように思います。今後、月物質を扱う研究と今回のようなデータ解析をつなげていくと非常に面白いのではと感じました。

 今回のような機会を設けていただいた講師、世話人、TAの方々に深く感謝いたします。ありがとうございました。

Last modified:2011/02/27 16:15:40
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