実習会[1]報告

概要

開催日程

2009年3月10日(火)〜2009年3月11日(水)

開催場所

東京大学本郷キャンパス理学部1号館

主催

月惑星探査育英会 実行委員会

後援
  • 日本惑星科学会
  • 惑星科学研究センター(CPS) / 神戸北大 G-COEプログラム
  • はやぶさサイエンスチーム
世話人

小林直樹(東工大)、橘省吾(東大)、杉田精司(東大)、 出村裕英(会津大)、はしもとじょーじ(岡山大)

講師陣
  • 講師
    • 平田成(会津大学コンピューター理工学)
    • 北里宏平(神戸大学地球惑星科学)
  • TA
    • 押上祥子(名古屋大学地球環境科学)
    • 鈴木絢子(神戸大学地球惑星科学)
    • 竹内洋人(東京大学地球惑星科学)
    • 山田明憲(東京大学地球惑星科学)
参加者
  • 参加者32名
    • 学部生16名
    • 修士課程7名
    • 博士課程4名
    • ポスドク5名

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実習内容
課題内容
  • はやぶさ搭載カメラAMICA画像による地形解析
  • 近赤外分光器NIRSの分光データ処理,解析
実習項目
  • FITS形式データの取り扱い
  • SPICEを用いた補助データの取り扱い
  • 小惑星形状モデルの取り扱い
  • C言語またはスクリプト言語を用いた各種計算処理
  • POV-Rayなどを用いたデータの可視化
プログラム
  • FITS
    • データ構造とメタデータ,画像データの閲覧とスペクトルの可視化
  • SPICE入門
    • カーネルの読み込みとデータの取り出し,簡単な幾何条件の計算
  • NIRS
    • 分光データ処理
  • SPICE応用
    • platelibを用いた形状モデルの取り扱いと幾何条件の計算
  • AMICA
    • ボルダーのサイズ計測
遊星人での報告記事

日本惑星科学会の学会誌である遊星人にて第一回月惑星探査データ解析実習会の活動報告が掲載されています.併せてご覧ください.

遊星人での報告記事へ

アンケート結果

有効回収票数36(受講生+受講生兼TA)

●本実習を知った経緯

惑星科学会OMLないしその転送メール81%、知人・口コミ19%

→基本的にメールベースで知った方が多い。今後もoml投稿での周知をはかることで良さそう。

●参加理由

探査データ&解析に興味47%、研究の幅を広げたい・勉強したい・役に立ちそう39%、SPICEに習熟したい8%、惑星探査に関わりたい6%

→公開されているとはいえ、データとその扱い方に興味のある方と勉強したいという方が大半である。次回以降取りあげるかもしれないSPICEについて陽に書かれた方と、これを踏まえて月惑星探査に興味を持っている方も見られた。しかし、(これを踏まえて、これから)探査に関わりたいという声は少なかったので、過去ミッションデータ解析実習テーマとして、海外で配布されているデータの取扱方法を取りあげてみても良いのかもしれない。

●実習難度

難しかった14%、やや難しかった44%、適切だった36%、やや易しかった6%、易しかった0% (分光パートと地形パートで、前者が難く後者が適切ないし易しいという声が幾つかあったが、それらは両者併せてやや難しいに全て分類した)

→やや難しいー適切だった、というところが多数である。自由記述欄と併せて読み取った限りでは、UNIX環境設定・コマンドラインに慣れているか否かで受講生の受け止め方が二つに分かれていた。学部生も一定数含まれていたようで、慣れていない人には難しく思えて、慣れた人には易しかったと言える。探査育英会でそこまで基礎的なところまでカバーすべきかどうか議論の余地があると思うが、次回は少なくともどういった基礎知識があると良いか、予習マテリアルの紹介、くらいはしておいた方が良さそう。

●講師・TAに求めるもの

7名からしか回答がなかったが、うち5名から参加者数に比べて講師・TAが少ないので拡充を求める声があった。参加者のレベルが大きく分かれているのに盛況な人数ということで、少し無理があったのかもしれない。前問と合わせて、今後の課題。

●自由記述欄を踏まえて

最も多い6件が、実習前日までwiki上の資料が更新され続けたために予習に支障が出たという声だった。今後の課題である。

次に5件あったものが2点。第2弾を期待する意見は大変心強かった。もうひとつが、環境設定に関する部分を中心に受講生のレベルが分かれていることに対する指摘である。分かっている人は別の機会にやってくれと考えるし、分かっていない人には数日掛けて解説してほしいという要望と結びついている。講師側の準備とも絡むが、余裕を持って予習してもらうようにするなど、何らかの工夫が必要だろう。

2件あったものが、実習の解答+資料BugFix版をwikiに載せて欲しいという声で、これはすぐに対応できる。

具体的なコメントが幾つかあった。 VistaにCygwinが入らないので、次回からは対象外にしては? プラットフォーム依存性のある説明は少ない方が良い、 作業ディレクトリの明示が欲しかった、 反射スペクトルの点光源・面光源の違いの詳細解説を希望する、など。

最後に、FITSやSPICEの指導を求める声が上の問いと被って散見されたので、今後取りあげる課題として考慮した方が良いと思われる。

●今後取りあげて欲しいトピック

  • かぐや 7件と最大多数。
  • PDS/ISIS/IDL/ENVI 2件、
  • 画像・カメラデータ解析 2件、
  • 以下は全て1件ずつ
    • カッシーニISS、
    • 小惑星・彗星軌道計算
    • 火星
    • 重力
    • クレータ
    • 宇宙鉱物学、
    • N体シミュレーション
    • 系外惑星探査
    • 最新惑星探査データ

実習会に参加して

押上祥子(名古屋大学大学院環境学研究科PD)

近年、はやぶさ、かぐや、PLANET-Cと、日本の惑星探査が活気付いています。世話人の皆様、参加者の皆様の熱意を間近に感じ、そのような皆様と一緒に実習に参加できたことをとても光栄に、そして嬉しく思います。また、こんなにも惑星探査に興味を持つ方が増えたのかという新鮮な驚きもありました。今回の実習で、これまでの惑星探査の歴史の中で培われてきた“スタンダード”を学ぶチャンスを得ることができたのは、本当に幸せなことだと思います。私は学生時代から惑星(金星、月)探査データ解析をまさに専門として研究を行ってきました。しかしながら、閉鎖的に(自己完結的に?)研究を進めてきたために知識が非常に偏っている自覚がありました。どのようなツールが使われていて、どのように使い、何ができるのかということを学べたということが第一の収穫です。

当初、一実習生として参加する予定でしたが、TAに抜擢していただいたことに対しても感謝を申し上げたいと思います。世話人、他の参加者の皆様とのやり取りを通して、より深く学ばせていただくことができました。TAの立場からの感想としては、前もって実習の具体的な内容を勉強し、理解しておきたかったです。TAとして、参加者の皆様に的確なアドバイスができるという理由もありますし、実習内容や進め方についても学ばせていただくことができるからです。これによって、実習に関するノウハウを皆様とより共有できるのではないかと思います。一方で、私がTAとして時に適切なアドバイスができないことがあった際、逆に参加者同士のやり取りが活発になって、何とか自力で解決しようという盛り上がりが生まれていたことも事実です。そんな雰囲気に、私自身もとても刺激を受けましたし、今後の実習への期待が膨らみました。

酒井恒一(東大地球惑星物理学科3年)

感想を送らせていただきます。お世話になりました。

以下感想

私は学部3年です。しかし学科の授業でLINUX系計算機の扱いを教わっていたので、端末の扱いでは困りませんでした。実習前の準備ではすこし混乱がありましたが、TAの方のフォローもあり、しっかり準備を完了できました。LINUX系端末の操作に不慣れな人も多くいたと思うので、端末操作に対するフォローを増やせば良いと思います。実際の観測データに触れられたのはいい経験でした。しかし動いてるプログラムの中身まで理解できなかったのは、時間のせいもありますが、残念です。これは個人でやるべき課題かもしれません。

この実習が初めてということもあり授業中に修正される部分もありましたが、もうすこし強調してくれると助かります。私の場合、授業中のプログラムがうまく動かなかった原因が言われた修正を聞いてなかったということがありました。

このような実習は学部生の私にとっては実際のデータに触れられる貴重な経験ですし、これから勉強モチベーションにもなりました。これからもどんどん学部生に案内を出して積極的に参加を促してもらいたいです。

以下資料中で気づいた点です。

  • kitazato_nirus_basic_090309.pdfの15枚目 "木星の反射スペクトル-1"の下の方
    • HAYABUSA (FK,SCLK,SPK=hayabusa_cruise.bsp)ではありませんか?
  • kitazato_nirus_basic_090309.pdfの18枚目 "月の反射スペクトル-1"の下の方
    • SPK=hayabusa_20040516-20040531.bspではありませんか?
西山竜一(東大理学部地球惑星物理学科3年)

小学生のとき、火星探査機「マーズ・パスファインダー」からの鮮やかなパノラマ写真を見て地球科学・惑星科学に憧れた身として、今回のような実習を楽しみにしていました。講師の方々が用意してくださった限られた条件の下ではありますが、惑星科学の最前線のデータを自分で触ることができた歓びはひとしおでした。今回学んだことを生かして、今後とも勉強していきたいと思います。

実習を通して学んだことは、探査機が撮影した写真や、分光器から得られた値を科学的な研究につなげるためには、さまざまな補正や、時には人の目による判断が必要だということでした。実習では、はやぶさに積まれた近赤外分光器(AMICA)のデータを用いて、月やいとかわ表面における分光データの解析をしました。その際、撮影時点での探査機・惑星・太陽(光源)の位置に応じてデータの補正を行う必要がありました。また、地球標準時と探査機時間の調整、座標系の変換は非常に複雑で、研究には楽しさはもちろんながら、大変な苦労も伴うだろうということは容易に想像できました。

今回のような機会を用意してくださった講師、世話人、TAの方々には誠に感謝いたします。一点だけ注文をつけるとするならば、探査データの著作権についてなど、探査データを利用・公開する際の心構えについても話して頂きたかったということがあります。今回の実習で私たちが作成した画像は、JAXAはもちろんのこと、いとかわの形状データを作成した方など、さまざまな機関や研究者の仕事の上に成り立つものだと思います。研究者の方がこれらのデータを利用し、公開されるときにはどのような手続きを踏んでいらっしゃるのか、聞いてみたかったです。

太田祥宏(東京大学理学部地球惑星物理学科3年)

 宇宙については幼少の頃から、具体的な探査についてはアメリカの火星探査、『はやぶさ』の成功を見て興味を持っていた。FITSファイルの扱いについては国立天文台のイベントで、unixの扱いについては学科の方で扱ったことがある程度だったが、今回のイベントでより理解を深めることが出来たと思えた。  また、SPICEをはじめとするツールに触れることが出来たのは非常によかったが、サイエンスとしてどうだったかと言われるとちゃんと理解できているかと言われると少し怪しい。時間や空間軸の変換についてはよくわかったが初見であったこともあり、どのようなカーネルを用いるのかを理解していくのに非常に時間がかかった。実際は『触ってみる』というレベルで対処するのが精一杯だった。nirsを始めとするスペクトルの解析については比較的わかりやすかったが、点光源、面光源が何を意味しているのかがいまいちよく分からなかった。また最後にプログラムの自習課題があったが、それまでのサポートと比較するとかなりレベル差があり、できたプログラムを考えるとややとっつきにくかったのが少し残念であった。  現在学部3年であるため参加動機もデータ解析に触れてみる、という色が強かったために個人的には非常に満足できた。もっとも全体としてどういう人(レベル)向けに開かれたイベントであったのかが参加してみても具体的に見えてこなかったので、その辺りはもう少しはっきりさせた方がよいのではないかと思った。今回の実習が今後の進路に対して直接影響を与えたかというとそれはまだわからないが、いろいろな話に触れることができ、いろいろな人がいるということを実感できたという経験は絶対的に役に立つものだと思っているので、折に触れて比較の対象としながら今後のことを考えていきたいと思う。

鈴木絢子(神戸大学大学院理学研究科)

TAからみた惑星探査データ解析実習

 去る3月10,11日に,惑星探査育英会(下記参照)の主催する第一回惑星探査データ解析実習会が東京大学の本郷キャンパスで開かれた。

 昨今日本の固体惑星探査は,探査機「はやぶさ」や「かぐや」で目覚ましい成果をあげ,イトカワや月の見事な画像やその他観測データが学会やシンポジウムの場で紹介されている。「データは一般に公開されています」という言葉を聞いて,ぜひ自分でもそれらのデータを眺めたいが,独特な観測データフォーマットや専門ソフトウェアにゼロから一人で取り組むのは,少々ハードルが高いと感じている方も少なからずいるのではないか。かく言う私も,火星探査機が撮影した画像データを使って研究していることもあって,特にかぐやの画像データにはとても興味があったが,尻込みしていた一人である。以前一念発起してSPICE講習会に参加したこともあるが,会のレベルが非常に高く,1日目にソフトウェアのインストールで失敗して残りの講習会を何もできずに過ごしたという苦い経験もあった。本実習の案内を受け取ったとき,すぐ参加しようと決めたが,同時にまた同じようになるのではないか,私と同じような人が出るのではないか,という不安も浮かんだ。

 しかし探査育英会の方々は,私が考えるような不安はちゃんと理解しておられた。今回の実習では事前に必要なソフトウェアを各自でノートパソコンにインストールすることになっており,懇切丁寧なインストール方法のウェブページが準備されていた。さらにウェブページのフォローとして,参加者のメーリングリストが設けられていたこと,そしてそれが非常にうまく機能していたことは特筆すべき点である。インストールがうまくいかないなどのメールがメーリングリストに流れると,講師・TAだけでなく,他の参加者が応答する場合もあった。この良い雰囲気は,例えばUNIXコマンドなどの非常に基礎的な質問にも丁寧に答える講師・TA・参加者の努力でできあがっていたものだと思う。研究を行ううえで,メールやメーリングリスト上で議論や質問をする機会は増えている。今回多くの学部生が参加していたが,彼らにとっては良い練習の機会にもなったのではないだろうか。

 実習にはTAも含め36人もの学部生・大学院生・ポスドクなどが参加した。一人一人がノートパソコンを広げる様子は,さながら未来の学校のようであった(図1)。実習では,前半はFITS形式やSPICEといった枠組みについて学び,後半にはやぶさ搭載のNIRS(近赤外線分光計)とAMICA(可視分光撮像カメラ)が取得した実際のデータを用いた処理や簡単な解析を行った。講師の平田成氏と北里宏平氏が代わる代わる担当され,それぞれのテーマで講 義,実習,講義,実習を繰り返して進められた。講義によって実習に必要な知識が得られ,実際に手を動かすことで講義内容がより良く理解できた。UNIXに触れるのが初めてという参加者もいて,講師・TAは手一杯だったが,ここでも参加者同士が教え合う光景が見られた。人数の多さから,探査データが持っている強烈な魅力を再認識する一方,参加者に学部生が多く,大学院生やポスドクなどの“現役の研究者”が少ないことに驚いた。この現象は,大学院生やポスドクのほとんどが既に使い方を知っているためだろうか。

 私の勝手な考えであるが,探査データを研究で使用しない人も,しない人こそ,このような実習に参加すれば良いのになぁと思っている。先日,慶応義塾高校野球部のお話をテレビで見た。当野球部は100人を超える部員がいる中,2軍の選手にも球拾いなど裏方の仕事だけでなくちゃんと野球の練習をさせているそうだ。なぜ試合に出ない選手にも十分な練習時間を取っているのか尋ねられた監督は,「野球に良いイメージを持って卒業させたい。そうすれば彼らは,野球を見に行き,子供に野球を教える。それが野球の裾野を広げることになる。」とおっしゃっていた。なるほどと思った。惑星探査を行うには,莫大な人的・金銭的資源が必要だ。そこまでしてなぜ惑星探査を行うのかと説明が求められる時,探査データを見て感動したことのある“サポーター”が多いほど,追い風は強くなるのではないだろうか。

 もちろん探査には“主力選手”の育成が必要不可欠だ。探査育英会では,実習時にできたつもりになるだけではなく,研究室に帰ってからも実際に探査データを閲覧・解析する人間,研究室の仲間に伝え教えることのできる人間の育成を目指しているのだと私は解釈している。今回の実習のメーリングリストに,今後も疑問・質問やデータ公開の情報のメールが送られて,参加者同士の交流が続いていくことを期待している。末筆ながら,実習会を企画された探査育英会,濃い内容の実習を準備された講師の方々にお礼を申し上げたい。

惑星探査育英会・・・将来の惑星探査を担う人材の育成と地球惑星科学教育の拡充を目的として設立された。惑星科学会の将来惑星探査検討グループに支援を受けている,惑星科学会会員有志による活動。

長澤健一(大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻)

まず、世話人の先生方、講師の先生方、TAの皆様には大変お世話になりました。ありがとうございました。そもそも参加した理由として惑星探査に同年代のどのくらいが関心を持っているのかなという興味がありました。月周回衛星「かぐや」の分光画像で研究をできる恵まれた環境にいますが、いかんせん同年代の仲間が少ないと感じています。先生方も日本の探査に関してマンパワーが足りないと言いながら学会に出てくる同年代は数少ないもので、現状は東大ですら教育体制そのものがないのでしょうか。その中で今回、各地から惑星探査に興味を持つ学生が集まり学ぶ場を作っていただいたことに大変感謝しています。世話人の先生方も仰っていた通り、こんなに興味を持っている人がいるんだなと驚きました。実習自体は準備からドタバタし、実習に参加している各々まで目が行き届くものではありませんでしたが、それに余りあるだけの意義のある実習会だったと思います。日本には「はやぶさ」、「かぐや」と先生方の苦労により独自の探査データがあるのですから、今後の実習会を通して内容がより整理されていき、各大学の理学部の学生実験で取り上げられるものになれば惑星探査への裾野も広がり、学生の意識も高くなると思います。自分自身も月のみでなく幅広く惑星探査データを解析してみる機会として有意義な時間を過ごすことが出来ました。まずはこれから「かぐや」の成果を一つでも増やせるように頑張っていこうと改め て思い直しましたし、「はやぶさ」のデータについても余裕を見つけて解析していきたいです。細かなことですが1点だけお願いがあります。コマンド表示用のプロジェクターがもう一台あればよかったかなと感じました。最後に反省点としては、体調を崩していて他の学生の方々とろくに話ができなかった点です。仲間と出会う場としてもこれから惑星探査に関わりたい人にとっての重要な場になっていってほしいと思います。

竹内洋人(東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻 修士1年)

 今回はやぶさデータ解析の実習にTAという立場で参加させて頂き誠に有難うございました。参加者の方々のPC環境がそれぞれ異なるためTAとして適切に対処するのは大変でしたが参加者の皆様に助けられることも多く、楽しく実習の2日間を終えることができました。僕自身の研究テーマがイトカワの地質に関するもので以前からはやぶさに搭載されているカメラや分光器などが取得した生のデータをどのような手順で解析していくのかということに興味があっためTAでありながら参加者の皆様と同様に多くのことを学ばせて頂きました。惑星探査が活発に行われている今日の現状を考えるとデータの解析手順やSPICEの使い方を学ぶことは必須であり、その方法を基礎から丁寧に解説して頂いたことに大変感謝しております。  また今回の講習会では技術の習得とともに他の皆様との交流という意味でも大きな成果があったようにも思います。懇親会では多くの皆様とざっくばらんに様々な話をする機会が得られました。学部生の皆様を含めて同様の研究分野の方々が全国から集まって交流できる機会はなかなか得られない貴重な経験だったと思います。  今回TAとして参加して感じたことを述べさせて頂きますと、実習で行われる内容をより具体的に前もって提示していただければもっと効率的にTAとして参加者の皆様を補助できたように思います。  今後の実習では今回の実習と同様にアットホームな雰囲気で深い内容が学べる場としてより多くの方々に参加していただければと思います。

若林大佑(東京大学理学部地球惑星物理学科3年)

 そもそも私が本実習に参加した経緯は、他の多くの参加者の方々とは異なっていたと思う。これまでに惑星探査にかかわる実習等に関わったこともなければ、惑星探査に強く興味を持っていたわけでもなかった。多くの参加者の方々にとってのモチベーションは惑星探査に関わりたいという強い期待だったり、スキルを身につけたいという意志だったりしたのだろう。もちろんスキルを身につけたいという欲求がなかったわけではないが、私にとっての本実習に参加した第一目的は未体験の分野をのぞいてみて自らの興味の幅を広げたいというものだった。  その目的に照らして今回の実習を振り返ってみると、かなり充実したものであったと思う。実習会に先駆けて端末の環境づくりがあったが、確かに苦労はしたけれども研究用の環境づくりという体験は非常に参考になった。やはりソフトをインストールしてイトカワのデータが可視化されると単純に「絵」がかけた喜びがあった。そして実際の実習会でも、分光などこれまで触れることのなかったデータを扱うという貴重な機会を得た。データを扱うスキルがきちんと身に付いているかというのははなはだ疑問であるが、惑星探査研究の一端を知り、その面白さを少しでも実感できたという意味で非常に価値のある時間だった。  もう一つこの実習において重要だったと思われるのは、実際に研究に携わっている講師・TAの方々はもちろん、院生の方や他大学の人との交流の機会があったことである。それほど長く話ができたわけではないが、同じ空間で同じ課題をこなしているだけでも得られるものはたくさんあった。環境づくりや実習内容でたびたび不都合が生じ、その度に説明が途切れることで実習全体が滞る場面が多かったが、受講者全体で困難を乗り越えていくような不思議な一体感が生まれていたと思う。その中に身を置けたことはかなり幸運だったのではないかと思っている。

LOC報告

会場関連
  • 詰めて60人収容可能な教室を準備
  • 延長ケーブルを床にはりめぐらせる
  • 講義にはスライドプロジェクタ使用
  • ビデオカメラにて講義撮影
  • 廊下,玄関に案内掲示
  • キャンパスマップ,学内レストランマップを希望者に配布
  • 参加者は理学部の無線LANに接続
  • アンケート配布・回収
消耗品
  • ミニDVテープ (80/120 min) 二本・レーザーポインタ用電池
懇親会
  • 会費:PD 3000円,学生 1000円,プラス心付け
  • 教室で出前を取って開催(食べ物・飲み物で約5万円)
その他
  • 初日ばたばたしていて忘れてしまったのですが,2日目朝に参加者に自己紹介をしてもらいました
  • 名札を用意したかったのだが,時間が足りず・・
Last modified:2010/04/09 11:48:19
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References:[第一回実習会] [FrontPage]