日時: 2013 年 11 月 12 日(火) 15:00-16:00
場所: CPS セミナー室
講演者: 中村 昇 (シカゴ大学 地球物理学部門 教授(気象学))
世話人: 林 祥介
タイトル: 変形オイラー平均理論の拡張による有限振幅ロスビー波と流れの相互作用の記述
要旨: 地球の対流圏地球流体中の波と帯状平均流の相互作用を記述する理論はすでにかなり確 立されており、その骨格をなす変形オイラー平均(TEM)の枠組みは大気大循環 の解析に広く用いられている。しかし、TEMでは平均流が波よってどのように どのくらい早く調節されているかは記述できるものの、観測された平均流が すでにどれだけ波や渦によって調節されているのかを定量化することはでき ない。これはTEMの波動成分の方程式(Eliassen-Palm関係式)が波動振幅の 2乗の精度しかないことに起因する。本研究では、ケルビンの循環定理を用 いることにより、ロスビー波に関してこの制約をとりのぞき、角(擬)運動 量密度が平均流と擾乱に分配される比率を定量化する。この拡張TEMにより、 (1) 流れと擾乱の共変化 (2) 時間変化のゆるやかな帯状基準場 (3) 混合 による流れの変化 などの定量的診断が可能になる。拡張TEMと、一般化ラグランジュ平均(GLM)など先行診断系との関係についても簡単に触れたい。
キーワード: 大気大循環、波と平均流の相互作用、ロスビー波、変形オイラー平均(TEM)、ラグランジュ平均(GLM)、エリアッセン-パームフラックス