日時: 2012 年 9 月 25 日(火) 15:00-16:00
場所: CPS セミナー室
講演者: 露木 義 (気象研究所)
世話人: 岩山 隆寛
タイトル: 決定論的予測可能性と変分法データ同化
要旨:  非線形なシステムでは、最も確からしい初期値から時間積分しても、予測値が最も確からしい状態になることは一般には保証されない。本研究では、統計的な観点から決定論的予測が可能であるための必要条件を提案する。この条件を満足するシステムについては、変分法によるデータ同化を再定式化することによって、従来より緩い条件で4次元変分法による初期値の推定が適用できることを示す。
 次に、連続体の解析力学をレビューしてから、オイラー的な流体力学の運動方程式が上記の条件を満たすかどうか検討する。特に、準地衡風方程式がこの条件を満足し、したがって中緯度大気の大規模運動の決定論的予測は、正準ハミルトン力学系と同様に可能であり、4次元変分法がその初期値の推定に適していることを示す。また、境界がある場合の流体の運動については、自由表面や圧縮性があるとこの条件が成り立たないことがあることを示す。