日時: 2012 年 6 月 7 日(木) 15:00-
場所: CPS セミナー室
講演者: 樋口 知之 (統計数理研究所)
世話人: 高橋 芳幸
タイトル: アンサンブルベース逐次データ同化とHPC
要旨: 複雑な現象の高精度予測のために、時空間観測・計測データの解析と数値シミュレーション計算を統合することにより、シミュレーションの初期値や境界値、パラメータ等を実際の現象をなるべく再現するように決め、時にはシミュレーションモデル自体にも手を加える(リモデリング)一連の計算作業がデータ同化と呼ばれるものである(1-4)。データ同化は逐次型と非逐次型に大別されるが、我々データ同化研究グループ(5)はアンサンブルベースの逐次型の研究に力を注いでいる。大規模なデータ同化の実現においても、計算効率を高めるためにHPCのハード特性を最初から意識した手法の開発が肝要となる。本講演では、データ同化の概念と基本的なアルゴリズムを概説するとともに、次世代スーパーコンピュータ等のHPCの階層性とネットワーク構造を十分意識した逐次データ同化の研究開発の現況(6)を紹介する
キーワード: データ同化、融合シミュレーション、アンサンブル予測、粒子フィルタ
参考文献: (1) 樋口知之、統計数理は隠された未来をあらわにする:ベイジアンモデリングによる実世界イノベーション(監修・執筆)、東京電気大学出版局、2007. (2) 樋口知之、予測にいかす統計モデリングの基本―ベイズ統計入門から応用まで、 講談社、2011. (3) 樋口知之編著、上野玄太、中野慎也、中村和幸、吉田亮、シリーズ<予測と発見の科学6> データ同化入門−次世代のシミュレーション技術−、朝倉書店、2011. (4) 中村和幸、樋口知之, 最近のベイズ理論の進展と応用[II]−逐次ベイズとデータ同化−, 電子情報通信学会誌,92-12 , 1062-1067, 2009. (5) http://daweb.ism.ac.jp/ (6) S. Nakano and T. Higuchi, A dynamic grouping strategy for implementation of the particle filter on a massively parallel computer, Proceedings of 13th International Conference on Information Fusion, 2010.