日時: 2012 年 3 月 14 日(水) 15:00-16:00
場所: 北海道大学理学 8 号館コスモスタジオ
講演者: 渡部 直樹 (北海道大学)
世話人: 谷川 享行
タイトル: 極低温表面における水素の化学:星間塵上での化学進化と重水素濃集
abstract: 分子雲における,水素分子,水分子,二酸化炭素や有機分子などの生成には,星間塵表面反応が不可欠であると考えられているが,その素過程はあまり知られていない.我々は紫外線や宇宙線があまり届かない,分子雲コアに存在する極低温星間塵上での化学進化の素過程を実験的に調べている.これまでに,10K程度の極低温星間塵においても,光などのエネルギーを必要としない量子力学的なトンネル反応により様々な分子が生成すること,星間塵表面反応が一部の分子の重水素異常濃集に大きく寄与することなどが分かった.多くのプロセスには水素(重水素)が深く関連しており,極低温表面における水素の化学を調べることが,化学進化の研究にはきわめて重要である.講演では,水素が重要な鍵を握る水素分子,水分子,ホルムアルデヒド,メタノール分子の生成機構と重水素濃集プロセスに関する研究を紹介する.
キーワード: 化学進化,星間塵表面反応,重水素濃集,トンネル反応