日時: 2011 年 5 月 18 日(水) 15:00-16:00
場所: 神戸大学自然科学総合研究棟 4 号館 809 号室
講演者: 左近 樹 (東京大学)
世話人: 木村 宏
タイトル: Observing the Sites of Dust Formation in Circumstellar Environments
abstract: 宇宙空間に存在する固体微粒子(ダスト)の起源を考える上で、様々な質量の星が各々の恒星進化の過程で放出するガスを原材料とするダストの凝縮は、観測的に理解すべき重要な過程の一つである。中小質量星は、天の川銀河など、ある程度の年齢を経た銀河においては、重要なダストの核の供給源となることが指摘される一方、大質量星は恒星進化の過程で合成した重元素を含む物質を、進化途上の質量放出活動や超新星爆発などを通じて星間空間に放出し、その中でいち早く宇宙空間にダストの核を供給し得る天体として重要視されている。しかしながら、いずれの場合においても、各天体現象が、どういった組成のダストの形成に関わり、どの程度効果的に星間ダストの供給源としての役割を担うのか、観測的には、良く理解されていない。
我々は、8mクラスの地上大型望遠鏡の中間赤外線観測装置を用いて、恒星風衝突領域で周期的にダストを合成するWolf-Rayet連星系やダスト形成を伴う近傍の新星の赤外線高空間分解能モニター観測を行い、恒星の放出ガス中でのダストの凝縮過程を観測的に捉える試みを進めている。本講演では、これまでに取得したデータをもとに、赤外線データを用いたダストの組成分析や質量導出の結果を紹介し、星周環境でのダストの核形成の現場と初期の進化の様子を考察する。