日時: 2010 年 11 月 17 日(水) 16:00-17:00
場所: 神戸大学自然科学総合研究棟 4 号館 809 号室
講演者: 井上 昭雄 (大阪産大)
世話人: 木村 宏
タイトル: 銀河のダスト輪廻転生
abstract: コズミックダストの起源は惑星科学の基本的課題である。この講演では、 銀河、特に、銀河系のダストの起源について再検討する。その際、 銀河の化学進化モデルを用いる。これは、恒星、星間媒質、'金属' (ヘリウムより重い元素の総称)、ダストの4成分の時間進化を解くモデルである。 まず、超新星爆発によるダスト破壊率に比べて恒星からのダスト生成率は 少ないことを示す。次に、分子雲中での物質降着によるダスト成長があれば、 太陽近傍のダスト量を再現できることを示す。また、解析的な計算により、 ダスト量は降着による成長と超新星爆発による破壊のつりあいで決まることを示す。 したがって、ダスト成長が効果的になった後は、ダスト量は恒星のダスト生成率に 依存しない。そのタイミングは、金属の質量割合が、成長と破壊の効率に依存する ある閾値を超えるときであると分かった。太陽系形成は、ダスト成長が効果的に なった後に起き、原始太陽系円盤には、十分な量のダストがあっただろう。