日時: 2009 年 10月 22日(木) 16:00 -
場所:

神戸大学自然科学総合研究棟 3 号館 506 号室奥のセミナー室,
北海道大学理学 8 号館コスモスタジオ,
岡山大学理学部本館 B136,
宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部,
九州大学理学部 3 号館 3603 号室

講演者: 山本 博基 (京都大学大学院理学研究科)
タイトル: Report on the GFD 2009 at Woods Hole
principle lectures: Nonlinear waves
project: Laboratory Experiments on Two Coalescing Axisymmetric
Turbulent Plumes in a Rotating Fluid
abstract: このたび, 神大・北大G-COE/CPSの援助を受けて「米国Woods Hole 海洋研究所のフェローシッププログラム: Geophysical Fluid Dynamics2009」に参加させていただきましたので, その成果報告をさせていただきます.
はじめに, 今年の Principle lecture "Nonlinear waves" の内容についてごく簡単に紹介いたします. その後, このフェローシッププログラム中に行ったプロジェクト(課題研究)の成果を発表いたします. プロジェクトの表題は「Laboratory Experiments on Two Coalescing Axisymmetric Turbulent Plumes in a Rotating Fluid」であり, 現地では水槽を回転台にのせて回す, 室内実験を行いました. 以下はこのプロジェクトの研究成果の要旨です。
火山の噴煙や電子機器の排熱など, 乱流プルームは様々なスケールで存在する. 発生源が点で近似されるプルームを軸対称プルームと呼ぶ.静止系の均質流体中に2つの軸対称プルームの発生源が同じ高さ z = 0に位置し, 水平に x_0 だけ離れているとき, プルームは z_m ~(0.44/α)x_0 の深さ(高さ)で1つのプルームに合体することが知られている (Kaye and Linden, 2004), ただし α はエントレインメント定数である. また Fernando, Chen, and Ayotte (1998) は回転均質流体中の軸対称プルームの発達に関する室内実験を行い, プルームは深さz_f ~ 5.5F_0^(1/4)f^(-3/4), 時間 T_f ~ 4.8/f で回転の効果を受け始めることを示した. ここで F_0 は浮力フラックス, f はコリオリパラメータである. 本研究では, 回転均質流体中において2つの軸対称プルームがある場合について室内実験を行った.本研究では底面が 60 × 60 cm, 深さ約 50 cmの水槽を回転台にのせて用いた. 水槽を真水で満たし, 水槽上部から Cooper ノズルを通して一定の流量 (1.74 cc/s) で海水を送り込むことで軸対称プルームを作
り出した. はじめに非回転の状態で Kaye and Linden の追試を行い,彼らの結果を確認した. 次に x_0 = 3, 5, 8, 10 cmとして, f = 0.05,0.1, 0.25, 0.5, 0.75, 1.0 の場合の回転実験を行い, プルームが合体する深さと, プルームにより生成される渦を観察した.
t < T_f ではプルームの合体深度は非回転の場時間合と同様で Kaye and Linden の理論に従った. t > T_f では回転の効果により合体深度は小さくなった. 生成される渦は2つのプルームの中間位置に単一の渦を生成する場合と, 2つのプルームがそれぞれ渦を生成する場合と, 2通り観測された. 解析の結果, およそ z_m < z_f の場合は合体後のプルームが渦を生成し, z_m > z_f の場合にはプルームが合体する前に各
プルームが渦を生成することを示した.
備考: 本セミナーは惑星大気研究会 オンラインセミナーと共催で行われます.
惑星大気研究会 http://wtk.gfd-dennou.org/